前回の日照時間ランキング、ベスト50とワースト50に続いて、全国のアメダス調査を行いました。
今回は風速です!🍃
風は大気圧の差によって、気圧が高いところから低いところに向かって空気が移動することによって起こります。ひとたび台風なんかが接近した時には暴風が吹きますよね。
また、海と陸では比熱容量が異なりますので、気圧差が生じていて、凪の時間を除けば、ほぼ常に陸と海で空気が行き来していると言って良いのではないでしょうか。
風が強い地域では風力発電(風車)を見かけることもありますよね。
そこで、今回は気象庁のアメダスで年間平均風速(m/s)の平年値(1991〜2020年)のデータがとれた全国876地点を調査しましたので、その結果をランキング形式でご紹介します!
(観測開始年が1991年以降で平年値30年に満たない地点もあります。)
ビューフォート風力階級
ランキングの前に、風速〇〇m/sがどれくらいの風なのかを判断するために、イギリス海軍のフランシス・ビューフォートが1805年に提唱した風力階級表を見ていきましょう!
今回のランキングに該当する部分のみ載せています。
風力 | 名称 | 相当風速 | 陸上の様子 | 海上の様子 |
0 | 平穏・静穏 | 0〜0.2m/s | 煙はまっすぐ昇る。 | 水面は鏡のように穏やか。 |
1 | 至軽風 | 0.3〜1.5m/s | 煙は風向きが変わる程度になびく。 | うろこのようなさざ波が立つ。 |
2 | 軽風 | 1.6〜3.3m/s | 顔に風を感じる。木の葉が揺れる。 | はっきりしたさざ波が立つ。 |
3 | 軟風 | 3.4~5.4m/s | 木の葉や小枝が揺れる。 | 波頭が砕ける。白波が現れ始める。 |
4 | 和風 | 5.5〜7.9m/s | 砂埃が立ったり、小さなゴミや落ち葉が舞ったりする。 | 小さな波が立つ。白波が増える。 |
5 | 疾風 | 8〜10.7m/s | 葉のある灌木が揺れ始める。 | 水面に波頭が立つ。 |
トップ1〜10位
1位 北海道日高地方 えりも岬 8.1m/s
日高山脈の南端、太平洋に突き出る岬。漢字で書くと「襟裳岬」。北海道幌泉郡えりも町に属します。
どうやら観測所のアメダスも岬の南端に近い場所にあるようです。海に囲まれている岬で風が強くなるというのは予想できますね。
夏季よりも冬季で風が強く、12月の風速は平年値は10.8m/sとなりました。
海上保安庁がえりも岬のリアルタイム映像と風速・波高を公開しています。
2位 北海道宗谷地方 宗谷岬 7.6m/s
続けて北海道の岬からランクイン。稚内市、本土最北端に位置する宗谷岬です。やはり夏季より冬季で風速が強い傾向にあります。
3位 沖縄県 下地島 6.9m/s
沖縄県宮古列島にある島のひとつで、宮古島とも橋でつながっています。みやこ下地島空港にあるアメダスで観測されているものです。
小さい島ですから、岬と同じく海に囲まれており、常に強い風が吹いていると思われます。
4位 高知県 室戸岬 6.8m/s
高知県、東側の岬。こちらもかなり鋭く海に突き出た地形になっています。
5位 沖縄県与那国島 6.7m/s
沖縄県八重山郡与那国町に属する、日本最西端の島。海岸線延長は約27kmと、やはり小さい島のランクインでした。人口は1,680人ほど。サトウキビの農業が主要産業だそうです。
6位 北海道檜山地方 奥尻 6.4m/s
北海道南西部、日本海に浮かぶ島で、奥尻郡奥尻町に属します。人口2,420人、周囲67.5kmとこれまでランクインした下地島、与那国島と比べると大きめです。
6位 北海道宗谷地方 本泊 6.4m/s
奥尻と同数で6位。利尻島の北側利尻空港にあるアメダスによる記録です。
利尻島南部には沓形(くつがた)という観測所がありますが、沓形の風速平年値は3.8m/sと同じ島内でもかなり差があるようです。観測所の周囲の条件にもかなり左右されるのでしょうか。
8位 沖縄県 北原 6.2m/s
沖縄県久米島の久米島空港にある観測所です。久米島は沖縄本島から西に100kmほどにある、周囲23km、人口7600人ほどの島。島内には久米島アメダスもありますがそちらの風速平年値は4m/s。
空港という立地が強い風を観測している要因でもあるようですね。
9位 東京都 三宅坪田 6.1m/s
東京都の伊豆諸島のひとる三宅島にある三宅島空港のアメダスによる記録です。空港は島南部にあり、北部には三宅島アメダスもあり、こちらの風速平年値は5.6m/sと三宅島に関しては大きな差が現れませんでした。
10位 北海道檜山地方 米岡 6m/s
6位にランクインした奥尻と同じ奥尻島の南部にある奥尻空港のアメダスによる記録です。
10位 北海道宗谷地方 声問 6m/s
同数で10位。2位にランクインした宗谷岬の南に位置します。
ワースト1〜10位
1位 岐阜県 八幡 0.4m/s
岐阜県中央部、飛騨高地の南に位置する、郡上市にあります。風が強いのが岬や島といった沿岸部だったのに対し、風が弱いのは内陸部であることがよくわかりますね。
1位 岐阜県 黒川 0.4m/s
同じ岐阜県から同数で1位になりました。先に紹介したアメダス八幡から南東に50kmほどにあり、加茂郡白川町にあります。飛騨川の支流、黒川の谷間に位置し、お茶の産地のようです。
3位 徳島県 京上 0.5m/s
徳島県の西部の内陸、三好市に位置します。祖谷渓の谷間に位置します。内陸で谷間というのが、風が弱い地域の特徴だということがわかってきますね。
4位 富山県 上市 0.6m/s
富山市の東、中新川郡上市町にあります。山に囲まれた地域ではありますが、3位までの地点と比べると沿岸に近いです。
4位 宮崎県 神門 0.6m/s
宮崎県の中部内陸、東臼杵郡美郷町にあります。
4位 高知県 本川 0.6m/s
高知県の内陸、四国最高峰、石鎚山の南側、吉野川の谷間にあります。吾川郡いの町に位置します。
以下7位の6地点です。
7位 群馬県 藤原 0.7m/s
7位 静岡県 井川 0.7m/s
7位 岐阜県 金山 0.7m/s
7位 群馬県 藤原 0.7m/s
7位 北海道十勝地方 ぬかびら温泉郷
7位 福岡県 添田 0.7m/s
まとめ
風が強いのは海に囲まれた、岬や小さい島、そして風を遮るものがなく、吹きさらしの場所となっている空港といった場所になりました。
あとは、総じてどの地点も夏の南寄りの風よりも、冬の北寄りの風の方が強いという特徴がありました。特に北海道で風が強い地域が多く見られましたね。
一方で風が弱い地域は、内陸であり谷間など山に囲まれている場所だといえるでしょう。